行政書士にもキックバック禁止が規則により明文化されました【行政書士職務基本規則 R6.4.1施行】

弁護士や司法書士の規則や規程などには、キックバック(紹介料要求)禁止が明文化されていました。しかし行政書士には明文化されていなかったので、この度R6.4.1より行政書士職務基本規則15条4項にて明文化されました。

キックバックの例をあげます。例えば相続手続きで、依頼者より不動産の売却を相談され、不動産屋を紹介したとします。その際に行政書士が不動産屋より紹介料を受け取るのは、行政書士基本規則15条4項違反となります。

ではなぜキックバックというのが禁止されているのでしょうか。不動産屋がキックバックを支払った場合、その支払い分は不動産屋の利益は減ります。損失分を補填するため、不動産屋が不動産の売主に紹介料分の負担させるような金額を提示する可能性があります。
キックバックが存在することにより、国民に不当な負担を強いかねない。また民間業者でもキックバックを禁止する内規がある場合があります。士業は公益性も帯びている職のため、尚更キックバック禁止規定があるわけです。

以下、キックバック(紹介料)に関する各士業の規則や規程などになります。

行政書士職務基本規則

(不当誘致行為の禁止)
第15条 行政書士は、不正又は不当な手段で、依頼を誘致するような行為をしてはならない。
2 行政書士は、金品の提供、供応その他不当な行為により行政書士の業務の依頼を誘致し       てはならない。
3 行政書士は、依頼者の紹介を受けたことについて、その紹介の対価を依頼者の報酬に上乗せしたり、職務内容と比較して法外な金額を請求したりしてはならない。
4 行政書士は、依頼者の紹介をしたことについて、その対価を要求してはならない。

弁護士職務基本規程

(依頼者紹介の対価)
第13条 弁護士は依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。
2 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受けとってはならない。

司法書士行為規範

(不当誘致等)
第12条 司法書士は不当な方法によって事件の依頼を誘致し、又は事件を誘発してはならない。
2 司法書士は、依頼者の紹介を受けたことについて、いかなる名目によるかを問わず、その対価を支払ってはならない。
3 司法書士は、依頼者の紹介をしたことについて、いかなる名目によるかを問わず、その対価を受け取ってはならない。

土地家屋調査士倫理規程

(不当誘致行為の禁止)
第11条 調査士は、不当な手段により事件の依頼を誘致し、又は事件を誘発してはならない。
2 調査士は、依頼者の紹介をしたことについてその対価を受け取ってはならない。
3 調査士は、依頼者の紹介を受けたことについてその対価を支払ってはならない。

日本税理士会連合会会則

(不当勧誘行為等の禁止)
第59条の2 税理士会の会員は、税理士の業務において、不当勧誘、不当広告、報酬額の不明示等その他相手方等の利益を害するおそれがある行為をしてはならない。

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