【ルール改正】所有者不明土地、空き家問題に伴う法改正【遺産分割協議・遺言書の価値の上昇】

国から、所有者不明土地、空き家問題の解消に向けて不動産のルールが変わるアナウンスが行われています。以下はそのパンフレットです。
001369525.pdf (moj.go.jp)

所有者不明土地は、その面積が九州本土を上回るという試算<増田寛也元総務相が主宰する「所有者不明土地問題研究会WG」の試算>があります。元々国土が狭いのに、利用できる土地が所有者不明で活用できないとなれば、日本という国にとって大きなマイナスです。2040年には九州本土(367)を上回り、北海道(780)に迫る土地が所有者不明土地になるという試算も出ているとなると、国が制度設計を急いだのも頷けます。

こういった理由などから施行された(される)のが、自筆証書遺言保管制度や相続土地国庫帰属制度、相続登記の義務化です。
相続登記の義務化については市役所にパンフレットがおいてあったりして、目にしたり耳にする機会があるかもしれませんが、相続手続きにおいてもう一つ重要な法改正が行われています。それは遺産分割に関して、R5年4月1日施行以降、被相続人の死亡から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として具体的相続分を考慮せず、法定相続分又は指定相続分(遺言よる指定相続)によって画一的に行うこととされたことです(改正法の施行日前に開始した相続についても適用されますが、詳しくは上記リンク先のパンフレットをご確認下さい)。

所有者不明土地や空き家問題が顕著化したことにより、遺産分割を悠長に待っていられないというのが国の本音でしょう。自筆証書遺言の保管制度も、制度を執行していくのに国側が時間も労力も費用もかかるのに実施しているのは、相続人に速やかに遺産を相続をしてもらい、その遺産をもって経済を回してもらいたいという意図があってのことだと推察されます。

あくまで個人的な意見ですが、相続登記が義務化がされるとはいえ、申請をしていない人たちに対して一気に過料がかされるとは考えにくいです。そんなことをすれば社会は大混乱となり、政府への批判も高まります。おそらく悪質なケースに過料をかし、テレビなどのメディアに取り上げてもらって相続登記の義務化への国民の意識を高めて、徐々に相続登記の義務化を浸透させていくのではないかと考えています。

とはいえ相続手続きが始まっている場合、今までのように放置しておくというのは、今後最悪の手になりかねません。相続についてご自身で調べるとか、専門家に相談するなど早めに動いておくことをお勧めします。

この記事は執筆当時のデータ等に基づき作成されておりますが、完全性や正確性を保障するものではありません。記事の内容を参考される場合は、詳細な検討をお願いします。

参考: 国土交通省 所有者不明土地ガイドブック