認知症になると遺言や相続はできない?認知症の発症原因や予防などにも言及

認知症関連

「認知症=判断能力がない=遺言や相続ができなくなる」ではありません。
認知症と診断されても、公証役場で任意後見契約を結べる方もいます。任意後見契約を結ぶということは、公証人が「判断能力がある」と判断したからに他ないからです。

そもそも認知症とは状態のことであり、60種類以上の病気が引き起こす状態を総称しての名称になります。
認知症の状態は千差万別、認知症と診断される病気の中には、適切な治療で症状の進行を遅らせたり、状態が改善に向かうものも存在します。

親が認知症になるかどうか想像も難しいかと思います。元気な親の姿を知るからこそ、それを認めたくなくて子供からの虐待等があるのが現状です。ただ想像できないことと、認知症を知らないでおくことは違います。認知症になる前に遺言を書いてくれと言っても、素直に書いてくれる親がどれだけいるか分かりません。
認知症は今後の介護や相続等にもかかわることです。特に介護が発生すると相当な労力がかかることになるので、認知症を知ることは本人や家族にとっても良いことだと思います。

自分が遭遇した認知症になった原因として、1つ目はキッチンをオール電化にしたというものがありました。息子が母親を案じてオール電化にしたという事案でしたが、それにより、今まで作れていた料理がオール電化以降作れなくなった。それによって認知症が始まったというものです。

2つ目は2度家が浸水し、そのショックで物忘れが一気に加速したというものでした。今まで普通に車で買い物に行けていたのに、何度も何度も同じ買い物の内容を聞いてくる。認知症の兆候が表れた瞬間を見たことがあります。

2つの原因とも、個人的には「脳への作用」が認知症の引き金になったと考えています。

骨折や入院で認知症が進行するとも言われており、これは動けない又は動かなくてよい状況が長く続くと、脳への刺激が少なくなることで認知症を引き起こしたり、進行するとも言われています。対策としてはスクワットが人間の中で最も大きい筋肉を刺激することで脳に刺激を与え、かつ骨折対策にもなると言われています。

もう一つは便秘対策をするということです。脳と腸には関連性があり、腸の機能が低下すると脳の機能も低下すると言われています。ゆえに食物繊維が豊富な食事をすることや、身体を左右に振って筋肉を動かして腸を刺激するのは、認知症対策に有効なことだと言われています。

ラジオ番組を聞いて映像を浮かべたり内容を理解しようとするのも、脳への刺激にはよいとされています。そして耳で聞いた後、脳で処理する形なので、聞こえ方がおかしいときは補聴器を早めに導入するのも認知機能に影響を与えると言われています。

また他には一日一分、大きな声で朗読するのも認知症対策として効果的と言われていますし、よく噛むことができなくなると脳の感覚野や運動野への刺激が減り、認知機能が低下するとも言われています。

この記事は執筆当時の資料や訪問介護員としての経験等に基づき作成されておりますが、完全性や正確性を保障するものではありません。記事の内容を参考される場合は、詳細な検討をお願いします。

参考資料
認知症予防医が教える、“脳に刺激を与える”ための「4つのルーティン」|脳を若返らせる小さな習慣
脳と腸の意外な関係 腸内細菌が認知症に影響する?
ワイドスクワットで認知症予防も/鎌田實の健康連載
高齢者用のスクワットを解説
おひりさまの認知症 幸せに暮らす準備ブック 著者・高瀬義昌(たかせクリニック理事長)