親族(従妹)がいる お一人様は、遺言が必要

ここでいうお一人様」とは、亡くなった後に法定相続人がおらず、遺産は最終的に国庫に帰属する人の事を指します。
またここでいう従妹とは、親族ではあるが相続人とならない人、例えば お一人様から見て母の妹の子供などを指します。

お一人様はマンションに住んでおり、一番近しいのが上記定義の従妹だったとしましょう。
お一人様は自宅マンションで倒れて、死後1カ月と3週間以上たって発見され、警察から従妹に連絡がありました。
従妹はお一人様の死亡を知ることになり、死因は突発的な病気によるものだと分かりました。それからお一人様の死後から時間が経過していたので、遺体の下の床が腐っており、一部修繕や特殊清掃が必要であることが分かります。従妹は小さい頃、お一人様に可愛がられていたこともあり、修繕等の支払いに法的な縛りはなかったのですが、100万円近くをポケットマネーで支払いました。

法定相続人ならば、残された財産からこの100万円近いお金を支払うことも可能ですが、最初の定義通り、今回の従妹は法定相続人ではないケースです。お一人様に財産が残されており、それを使えば支払いをできたとしても、従妹には残された財産を使い、死後手続きの支払いをする生来の権限はないのです。

今回の従妹にも、救済方法はあります。ただその申立ては時間がかかり、遺言があればこんな労力や心労はかからなくて済むのにという手続きをしなければいけません。
その手続きとは、家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立てをすることです。

相続財産管理人は、申立人の推薦を受け付けていないケースもあり(大阪家庭裁判所本庁では原則推薦を受け付けていない)、報酬も発生します。報酬や管理人が行う管理費用は遺産の中から支払われるますが、中には借金の可能性があるケースも存在します。ゆえに申立人が予納金(数十万~百万程度)を納める場合もあります。当然残された財産が十分でない場合は、予納金は全部または一部が返還されないこともあります。
また相続財産管理人を申立てる家庭裁判所が、お一人様が最後に住んでいた住所地になることも覚えておいた方がよいでしょう。

仮に申立てが認められるケースがだとしても、必要書類を集めて提出するために何度も市役所や裁判所に出向いたり、本当に支払ったお金は返ってくるのかという心配事など、申立てにかかる労力や心労は大変なものになります。もちろん申立てを弁護士や司法書士に依頼すれば、申立ての手間等は減りますがそれだけ費用は発生します。
なお葬式費用は、葬式は喪主が主宰する儀式であるため、当然には立替金債権にはならないと大阪家庭裁判所は見解を示しています。つまりは善意で葬儀を行った親族に、思わぬ迷惑がかかる可能性もあるわけです。

遺言があれば、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てることなく預金通帳を解約して、立替金を確保することも可能です。
銀行の手続き等をスムーズにするには、公文書である公正証書遺言を公証人のもとで作成するのが一番ですが、そこまでしたくない人は自筆で遺言を書く自筆証書遺言という手もあります。

自筆証書遺言においては法務局が保管して、オプションとして死後指定した人に遺言があることを通知してくれる制度も、令和2年7月10日から始まっています。
また遺言は財産を分配について指定するだけでなく、葬儀を簡素なものでとか葬儀自体がいらないとか書き足すことも可能です。
親族がいる お一人様は、遺言作成を真剣に考えて頂きだければと思います。

この記事は執筆当時の法律等に基づき作成されておりますが、完全性や正確性を保障するものではありません。記事の内容を参考される場合は、詳細な検討をお願いします。

※特殊清掃・・・死体が腐敗すると、床や畳、壁などに遺体から染み出した体液や血液が付着し、通常の清掃では汚れや臭いを落とすことはできないので、特殊な清掃が必要になる


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