R8.4.1より共同親権がスタートします。
今までは離婚をすると単独親権しか存在しませんでしたが、共同親権という選択肢がこの度の法改正で生じます。
タイトルに表記した養子縁組承諾の罠とはなんでしょうか。
具体的なケースをあげならが説明していきます。
まず離婚調停で共同親権という選択肢を選んだことを前提にします。
子供は何人いても同じですが、わかりやすいように子供は14歳以下の1人とします。
この調停では父親が共同親権にこだわったのですが、進学に対する教育に今後もかかわりたいと強く願い、その点においては母親も了承し、共同親権がスタートしました。
子供は母親と居所を同じくし、性も母親の旧姓にしました。
共同親権において、子供の氏の変更は両方の親の承諾が必要になります。
今までの制度では単独親権だったゆえ、氏の変更は子供を監護する親の意向が強く反映されていましたが、共同親権になると両方の親の承諾が必要になります。
今回の離婚調停では、父親が共同親権、母親は単独親権を主張していました。
母親は離婚を早く成立させて、また次に進むため、共同親権を認めました。そして父親の教育への熱意に押されたという側面もありました。
父親にも母親が歩み寄ってくれたという感謝の気持ちがあったので、子供の姓を変えるのに協力して欲しいという願いを了承しました。
氏の変更は、調停調書に記載され、母親はその調書をもって手続きを行いました。
そして離婚の1年後、父親のもとには子供養子縁組の承諾に絡む書類が届きました。元嫁が再婚したためということでした。
ここで問題になるのが、養子縁組の代諾(15未満の子供に代わり養子縁組を承諾する行為)についてです。養子縁組を承諾してしまうと、養子になる子供に対する父親の親権が消失してしまいます。以下の法律は、R8.4.1より施行される民法です。
(親権)
第八百十八条 親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない。
2 父母の婚姻中はその双方を親権者とする。
3 子が養子であるときは、次に掲げる者を親権者とする。
一 養親(当該子を養子とする縁組が二以上あるときは、直近の縁組により養親となった者に限る。)
二 子の父母であって、前号に掲げる養親の配偶者であるもの
親権とは
親が子を監護教育したり、子の財産を管理したりする権利であり、同時に義務のことを指します。15歳未満の氏 変更等の身分行為の代理も含まれています。
今までが単独親権しかなかったので、別居親が養子縁組を承諾するというプロセスはありませんでした。それゆえ世間の認識は、養子縁組の承諾が親権喪失という重大な事案だと考えていないはずです。そして親権は喪失しても、養育費を支払う義務は残り続けます(調停などで養育費の減額請求は可能)。
上記の例では、母親サイドが拒絶すれば、教育に熱心だった父親がそれらに関して口出しできないようになります。
なお親権は喪失しても、養育費を支払う義務は残り続けます(調停などで養育費の減額請求は可能)。相手方に単独親権があったとしても、養育費の義務が残り続けるものと考え方的には同じものになります。
父親が氏の変更と同じ感覚で、子供の養子縁組を承諾してしまったら・・・という想定もできます。
最終的な届け出先である養子縁組の届け出先である市町村役場や、未成年の養子縁組の許可を出す家庭裁判において、今話したような事情が、養子縁組の手続きを直接行わない実父の方に説明されるかは不透明なので、注意喚起として記事にさせて頂きました。
なお離婚をしたうえで、氏の変更を後ほどしたいと考えたが、協議しても合意ができなかった場合は、家庭裁判所が扱う親権行使者の指定の調停又は審判の手続きを行い、解決を図ることになります。
この記事は執筆当時の法律等に基づき作成されておりますが、完全性や正確性を保障するものではありません。記事の内容を参考にされる場合は、詳細な検討をお願いします。
